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解体業に必要な許可とは?要件・資格・許認可について知ろう

2022年11月27日

解体工事と聞くと、建物を壊すだけで誰にでもできると思われるかもしれません。
しかし、解体業を営むためには建設業の許可や登録の必要があります。
本記事では、これから解体業で経営を目指す方へ、解体業に必要な許可や登録について詳しく解説しています。

また、解体工事の作業で資格取得が必要なものや、持っていると便利な許可についても紹介します。

解体工事に限らず、建設業を営むためにはさまざまな要件があるので、しっかりと確認していきましょう。

解体業に必要な許可とは?要件・資格・許認可について知ろう

解体業を営みたい!許可と登録の違いは何?

前述したように、解体業は許可や登録が必要です。
しかし、工事の種類によっては解体業の許可が不要なものもあります。
例えば、内装解体後のリフォームなら内装工事の一種になるため解体業の許可は必要ありません。

また、建替工事は土木・建築一式工事の許可があれば解体業の許可がなくても解体作業を行えます。

一方で、既存の建物や建造物を解体して更地にする工事は、解体工事になります。
この場合は、解体業の許可を取得しなければなりません。
解体工事の許可には、「建設業許可」と「解体工事業登録」があります。
これらの違いについて解説します。

建設業許可は5年ごとに更新を

建設業許可とは、建設工事の完成を請け負う営業をするために必要な許可です。
平成28年6月1日の建設業法の改正により、解体業の許可が新設され解体工事を請け負う場合、許可が必要になりました。
建設業許可は、工事請負金額500万円(税込)以上の解体工事の場合に必要です。

また、2つ以上の都道府県で営業所を設けて営業する場合は国土交通大臣の許可が必要です。
1つの都道府県での営業の場合は都道府県知事の許可を取得する必要があります。

解体工事業登録者の請負工事は登録した都道府県のみに限定される

建設リサイクル法に基づく規定により、工事請負金額500万円(税込)未満の解体工事の場合、解体工事業登録が必要です。
ただ、すでに土木一式工事か建築一式工事の許可を持っている場合は、登録の必要はありません。

解体工事業登録と建設業許可の違いは、ほかにもあります。
建設業許可を取得すれば全国どこでも施工が可能です。
しかし、解体工事業登録は登録を受けた都道府県内でしか施工できず、エリアが限定されます。

許可や登録をするための必須事項

解体業の許可や登録は、「適正な建設工事の確保」と「発注者の保護」を目的としています。

例えば、手抜き工事をしたり倒産してしまったりするような建設業者に、仕事を依頼してしまった場合、発注者に多大な損失が発生します。
そのような事態になり周囲に大きな迷惑を被らないために許可や登録が必要なのです。

そのため、建設業許可や解体工事業登録は誰でもできる訳ではなく、「要件」と呼ばれる許可・登録をするための条件を達成しなければなりません。

要件①|許可・登録申請は都道府県ごとに行う

解体業の許可や登録の申請は、工事を施工する都道府県ごとに行います。
つまり、2つ以上の都道府県に営業所を構える場合は、その都道府県ごとの解体業の許可申請が必要です。

申請書には、下記の項目を記載します。

● 商号(屋号)
● 会社名(個人の場合は氏名)
● 住所
● 営業所の名称と所在地

登録は、5年ごとに更新手続きを行います。
また、解体業の許可を持つ業者が建築一式や土木一式、とび・土工・コンクリート業の建設許可を取得した場合、解体工事の許可は失効します。
これは、解体業の許可が建築一式などの許可と内容が重複するからです。

要件②|常勤の技術管理者の決定は必須

2つ目は常勤技術者の決定と配置です。
常勤技術管理者の配置には以下の2つの目的があります。

● 適切な廃棄物処理
● 建設リサイクル法に基づく施工管理

そして技術管理者は、以下のいずれかに該当する者が選定されます。

1つ目は、8年以上の実務経験を持つ者(一定の学歴があれば短縮)。

2つ目は、以下のいずれかの資格取得者。
● 1級、2級建設機械施工技士
● 1級、2級土木施工管理技士
● 1級、2級建築士
● 1級とび・土工の技能検定合格者
● 技術士(建設部門合格者)

3つ目は、解体工事施工技士試験の合格者です。

要件③|欠格要件がない

解体業の建設業許可や登録を受けるには、すべての要件を満たすのが前提です。
以下に該当する方は、建設業許可や登録が受けられません。

● 建設リサイクル法に基づく違反事例がある
● 前科や暴力団員関係者
● 解体業の取り消しから2年未満の方
● 業務停止期間が経過していない
● 技術管理者を選定していない
● 虚偽の申告
● 変更申請の未届

申請する場合は、自身が欠格要件に当てはまっていないかどうか確認しましょう。

解体業に必要な資格を知ろう

解体業の許可を得るには、技術管理者が該当する資格の取得が必要です。
また、資格・技能講習・特別講習の受講を義務付けた解体作業もあります。

これから解体業を営む方は、必要な資格や技能講習、特別講習について理解しておきましょう。

資格や講習には更新期間があるものもあります。
解体業を営んでからも、適切な時期に作業員に更新講習を受講させる必要があります。

無資格だとできない作業

解体作業の中には、無資格ではできない作業があります。
その内容を一部ご紹介します。

● 鉄骨造建築物や足場の組み立て
● アセチレン溶接装置での溶接
● 車両系建設機械の運転
● アスベストの取り扱い
● 小型クレーンの運転
● 玉掛け作業
● 高所作業車の操作

以上のような作業を行う場合、講習受講や修了試験の受験と合格が必須です。
これらは、ほんの一部の内容です。

持っていると便利な許可

ほかにも、解体作業をする際に、取得していると便利な許可があります。
その一部をご紹介します。

● 産業廃棄物収集運搬業許可
● 産業廃棄物処分業許可
● 一般廃棄物収集運搬業許可

産業廃棄物の運搬や処分、建物内の一般廃棄物に分類される家具や家電の収集運搬を業にできる許可があります。
これらの許可がなくても、外注で作業してもらえます。
しかし、許可があれば自社ですべての作業ができるので合理的かつ効率的です。

まとめ

解体業には建設業許可や登録が必須です。
許可や登録をするためには、要件達成する必要があると理解できましたか。

建設工事は決まりを守らずに作業すると、怪我や命の危険があります。
また、作業員だけでなく工事現場周辺の方々や、通行人にも被害を及ぼす恐れがあります。

これまで紹介した許可や登録、資格などはそのような事故を起こさずに安全に安心して営むために厳しく定められたものです。
これから解体業を営む予定の方は、必ず許可・登録を行いましょう。