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解体証明書はどんな書類?なぜ必要?解体証明書を使用する滅失登記についても一緒に解説!
2023年10月27日
家が老朽化したり、自分が住まなくなった実家を維持するのは大変です。
建物の倒壊を防ぐため、解体する人もいるかもしれません。
しかし、建物を解体した時に手に入れておかなければならない「解体証明書」についてはあまり知られていないかもしれません。
本記事では解体証明書がどのような書類なのか、入手するにはどうすればいいのか、この書類を使って行う手続きなどについて解説します。
解体証明書とは
所有する建物を壊したときに受け取る、あるいは作成する書類のことを解体証明書といいます。
解体証明書はどんな書類?
解体証明書とは建物の解体を請け負った業者が、建物の取り壊しを証明する書類です。
「取り毀し証明書」「建物取り壊し証明書」「建物滅失証明書」など複数の呼び名がありますが、内容や効果は同じです。
法的に提出が義務付けられている書類ではありません。
しかし、この書類がないと法務局での手続きがスムーズにいかないおそれがあります。
解体証明書の入手方法
この書類は基本的に建物解体後に工事を行った業者から入手できます。
心配であれば、事前に施工業者に解体証明書の発行を依頼しておくとよいでしょう。
ただ、個人事業主として解体業を行っている場合は証明書を発行しない可能性があります。
そのときは、工事を依頼した側が自分で書類をつくり、業者に署名・実印などをもらわなければなりません。
自分でも解体証明書は作成できる
書類に記載する必要事項は以下のとおりです。
・建物の住所
・家屋番号
・種類
・構造
・床面積
・工事種別
・工事完了年月日
・建物を所有している人の住所・氏名
・「取り壊し工事を完了しました」のような取り壊し工事を完了したことがわかる一文
・施工者の名称、住所、押印、代表取締役の氏名・役職名
家屋番号は法務局がつける建物を特定するための番号で、登記簿謄本に記載されています。
種類や構造、床面積なども登記簿謄本に記載されています。
基本的には全て自分で調べられる情報ですが、わからなければ法務局に問い合わせてみるとよいでしょう。
解体証明書が必要な理由
なぜ、この書類が必要になるかといえば、登記簿に載っている建物を壊した時に必ず行う滅失登記で使うからです。
滅失登記とは?
そもそも、登記とは自分の財産である土地や建物の所在や面積、所有者の氏名などを公の書類である登記簿に記載することで、権利関係を明らかにする行為です。
登記を行うことで、第三者に対して自分の権利を主張することができ、土地や建物が自分の財産であることが法的に認められます。
ということは、登記されている情報は法律的に自分の所有物であると示していることになります。
例え建物を壊したとしても、登記簿に残っている限りは法的に存在することになります。
滅失登記は登記簿から建物を削除し、存在しないことを法的に確認する行為ですので、建物を取り壊したら必ずしなければなりません。
滅失登記の期限
滅失登記の期限は建物がなくなってから1ヶ月以内です。
手続きで最低限必要となる書類は以下のとおりです。
・滅失登記申請書
・取り壊した建物が記載されている登記簿謄本
・解体証明書
・登記資料
・取り壊した業者の印鑑証明書
このほかにも解体した事業者の会社代表者の資格証明書、登記を代理人に依頼する場合は代理権限証書などが必要です。
滅失登記を行わないデメリット
1つ目のデメリットは10万円の過料が課せられることです。
過料は刑罰ではないので、滅失登記をしなかったことで前科が付くというわけではありません。
しかし、行政罰としては有効ですので必ず10万円を納付しなければなりません。
2つ目のデメリットは固定資産税の請求が来てしまうことです。
滅失登記を行っていないということは、建物がなくなっているにもかかわらず、法的には建物が存在した状態となっているということです。
そのため、建物が存在しないにもかかわらず、登記簿に基づいて課税される固定資産税が請求されてしまいます。
3つ目のデメリットは建物を建てるなどの土地活用ができないことです。
法的にはまだ建物が存在していることになるので、その場所に新たな建物を建てたり、駐車場などを整備したりといったことができません。
滅失登記の流れ
滅失登記は法務局で行うことができます。
解体証明書や請け負った業者の印鑑証明、建物があった場所の案内図、登記簿謄本などを用意して法務局でレクチャーを受けます。
法律や制度の知識に自信がないのであれば、弁護士や行政書士、土地家屋調査士に依頼して手続きを代行してもらった方がよいでしょう。
まとめ
今回は建物解体時に業者からもらえる解体証明書についてまとめました。
解体証明書の提出は義務ではありませんが、解体工事が終わった後で行う滅失登記のときに必要となります。
解体証明書がなくても手続きそのものは可能ですが、あった方がスムーズに滅失登記の手続きを進められます。
業者が出してくれないときは、自分で書類を作成して必要事項に記入してもらいましょう。