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繊維くずとは?種類やリサイクル・処分方法をわかりやすく解説

2024年03月14日

日常生活の中で私たちは衣服や布製品を使用しており、その使用や洗濯過程で生じるのが繊維くずです。

繊維くずは、衣服や布製品から剥がれ落ちる微細な繊維のかけらで、肉眼で見えにくいこともありますが、集積すると環境へ影響を及ぼす可能性があります。

この記事では、繊維くずがどのようにして生じるのか、その種類と環境への影響について詳しく述べていきます。

繊維くずとは?種類やリサイクル・処分方法をわかりやすく解説

繊維くずが生じる原因

繊維くずが生じる原因は多岐にわたりますが、主な原因としては衣服や布製品の使用と洗濯が挙げられます。
日常生活で衣服を着用する過程で、摩擦によって繊維が剥がれ落ちることがあります。

また、洗濯時には水と洗剤、洗濯機の擦れ合いによって衣服から繊維が剥がれやすくなります。
特に、温水での洗濯や長時間の洗濯、強力な洗濯モードの使用は、繊維くずが発生しやすい条件です。

これらの繊維くずは見落とされがちですが、水路を通じて川や海に流出することもあり、微生物による分解が難しいため環境問題を引き起こすことに繋がります。

繊維くずの種類

繊維くずの種類は、主に使用されている繊維の種類によって分かれます。

大きく分けると、

・天然繊維由来のくず
・化学繊維由来のくず
・これらが混在した混合繊維のくず

があります。

天然繊維由来のくずは、コットンやウールなど天然の素材から生じる繊維のかけらです。

化学繊維由来のくずは、ポリエステルやナイロンなど人工的に作られた素材から生じるもので、これらは微生物による分解が難しい特性を持っています。
混合繊維のくずは、これら天然と化学繊維が混在しているもので、分解の難易度は混在している素材に依存します。

天然繊維由来のくず

天然繊維由来のくずは、主に綿、麻、ウールなどの天然素材から生じます。
これらの素材は一般に、環境に対する負荷が小さく、自然界での分解が比較的容易とされています。

しかし、大量に生産・消費された場合、それに伴って発生する繊維くずも無視できない量となり、局地的な環境問題となることがあります。
特に、農業や工業過程で使用される化学薬品が付着した状態で環境に放出されると、その影響はさらに深刻になることが懸念されます。

化学繊維由来のくず

化学繊維由来のくずは、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの合成繊維から生じる繊維のかけらで、自然界での分解が非常に難しい特徴があります。
これらの繊維くずは、洗濯水と共に排水され、最終的には海洋に達することが多く、海洋生物に吸収されたり、食物連鎖を通じて人間にも影響を与える可能性があるため、社会問題となっています。

このような化学繊維由来のくずを減少させるためには、合成繊維製品の使用を控える、洗濯時に繊維くずを捕捉するフィルターの使用などが考えられます。

混合繊維のくず

混合繊維のくずは、天然繊維と化学繊維が混ざった素材から生じるもので、その環境への影響は構成されている繊維の種類に依存します。

混合繊維は天然繊維の利点と化学繊維の強度を兼ね備えている一方で、その分解性は複雑で、環境への影響評価が難しい場合があります。
混合繊維製品の消費を減らす、もしくは繊維くずを効果的に捕捉する技術の開発が、今後の課題となっています。

繊維くずが環境に与える影響

繊維くずが環境に与える影響は、その分解性と流出量によって異なりますが、一般に海洋汚染が最も深刻な問題とされています。

繊維くずは海中で微小なプラスチックの一形態となり、海洋生物に摂取されることで食物連鎖を通じて生態系全体に影響を及ぼす恐れがあります。

さらに、これらの微細な繊維は、水質汚染の一因となり、人間の健康にも影響を及ぼす可能性が指摘されています。

繊維くず問題に対処するためには、消費者、製造業者、政府など多様なアクターが協力し、繊維製品の生産から廃棄までのライフサイクル全体を見直し、持続可能な対策を講じることが急務です。

繊維くずのリサイクル方法

繊維くずのリサイクルは、資源の有効活用や環境保護の観点から非常に重要です。
持続可能な社会を目指す上で、繊維くずの適切なリサイクル方法を理解し、実践することが求められています。

リサイクルの基本プロセス

繊維くずのリサイクルプロセスは、まず繊維くずを回収し、種類に応じて分類することから始まります。
繊維の種類によっては特別な処理が必要となるため、正確な分類がリサイクルの効率性を左右します。
次に、物理的または化学的方法を用いて繊維を再生可能な資源へと加工します。

このプロセスでは、繊維の品質を維持するとともに、可能な限り原料へと戻すことがゴールです。
最終的に、リサイクルされた繊維は新たな製品の原料として再利用されることで、資源の循環を促進します。

機械的リサイクル

機械的リサイクルは、繊維くずを物理的に加工することでリサイクルする方法です。
この方法は、主に天然繊維や一部の合成繊維に適用されます。

繊維くずはまず細かく刻まれ、清掃された後、新しい糸や布に再加工されます。
機械的リサイクルは比較的簡単でコスト効率も良いため、広く用いられています。
しかし、再加工の過程で繊維の強度が低下することが多く、品質管理には特に注意が必要です。

化学的リサイクル

化学的リサイクルは、繊維くずを化学反応により分解し、再度ポリマーなどの原料へと変換する方法です。
このプロセスは特に合成繊維に有効であり、原料の品質を高いレベルで回復させることができます。

化学的リサイクルは技術的に高度であり、またコストも高くなりがちですが、資源の節約や環境負荷の低減に大きく寄与します。
化学的リサイクルを進めることは、持続可能な繊維産業の発展にもつながります。

リサイクルできない繊維くずの処分方法

リサイクルが難しい繊維くずについても、適切な処分方法を選択することが重要です。

一般的なゴミとして廃棄することを避け、可能であればエネルギー回収のための熱処理や、農業用のマルチ材料としての利用を検討すべきです。
また、アップサイクルによる新たな製品への再利用も有効な選択肢です。

繊維くずを適切な方法でリサイクル・再利用

繊維くずのリサイクルと再利用は、資源の有効活用だけでなく、環境負荷の軽減にも大きく寄与します。
個人レベルでも、繊維製品の選択から使用、廃棄に至るまで、意識的にリサイクル可能な製品を選び、長く使い続けることが重要です。

また、製造業者や政府も、リサイクルへの取り組みを進め、持続可能な繊維産業の実現に努める必要があります。