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内装にもアスベストはある?解体やリフォームも事前調査が必要か?

2022年11月22日

アスベストと聞くと、よいイメージがある方はいないでしょう。
高度成長期の日本では、万能資材としてアスベストは頻繁に利用されていました。
しかし現在では、人体に危険を及ぼす事例が発生したため使用禁止となっています。

この記事では、内装材にアスベスト含有物が使用されている際の解体方法について解説します。
これから解体を検討されている方は、本記事を参考にしてください。

内装にもアスベストはある?解体やリフォームも事前調査が必要か?

内装でアスベスト含有物を使用しているときの解体方法

アスベスト含有物を使用している建築物の解体方法は、通常の解体工事とは異なります。
解体・改修工事を行う際には、石綿(アスベスト)含有の有無の事前調査を行う必要があります。

工事規模の大小にかかわらず、工事前には必ず解体・改修作業にかかわるすべての材料について報告しなければなりません。
参照:『厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト改修・リフォーム業者のみなさまへ』

事前調査には建築物石綿含有建材調査者か、日本アスベスト診断協会の登録者の資格が必要です。
誰でもできるものではないので、有資格者を揃えましょう。

上記の理由から、アスベストを含む解体工事は、ほかの解体工事のようにすぐにとりかかれません。
アスベストを含んだ解体工事の流れは以下の通りです。

1. 解体物の事前調査
2. 書類の提出、承認
3. 近隣住民への告知
4. 飛散防止対策
5. 解体
6. 除去・処分

この流れを怠ると解体業者の責任が問われ、罰則が科せられる場合もあるので注意が必要です。

アスベストは過去に万能資材として使用されていたが今は使われていない

アスベストは耐火性や断熱性などの有用性から、万能資材として利用されていました。
しかし、人体への有害性が発見されてから、徐々に使用されなくなっていきました。
現在は使用禁止になり、有害物質として扱われています。

アスベストは、1955年から1975年の高度成長期に頻繁に使用され、完全に使用禁止になったのは2006年です。

アスベストって何?危険性を解説

アスベストは、実際何が危険なのか?過去には使われていたものが使われなくなるのには、実際の被害が起きたからです。
どういう危険性があるのか、詳しく解説していきます。

危険性①発がん性がある

アスベストには発がん性があり、吸い込み続けると肺がんの発生率が高くなると確認されています。
実際、過去に粉塵が舞い散る環境下で長期労働していた方は、今でも健康被害を受けています。

喫煙と深い関係があると言われていますが、明確なメカニズムは現在も解明されていません。

危険性②呼吸器疾患の原因となる

アスベストを大量に吸い込むと肺内に蓄積され、呼吸器疾患の原因になります。
吸い込む量が少量でも、安全とは限りません。

アスベストは舞い散りやすく、肺に入りやすい物質です。
細かな繊維となり肺に刺さり奥底に蓄積され、中皮腫、間質性肺炎、良性石綿胸膜炎など健康被害があります。

危険性③出るまで15年〜40年かかるから気づきにくい

アスベストによる健康被害は、いつ発症するか分かりません。
場合によっては15年から40年の長い潜伏期間を経て、肺機能障害が起きる場合もあるでしょう。

症状がないうちに体内に蓄積され、急に症状が出るため「サイレントキラー」とも呼ばれています。
今でも過去にアスベストの環境下で労働していた方が、健康被害を訴え続けています。

危険性④解体時に飛散するから

アスベストは、内装の解体時に発塵性が高く、大変危険です。
吹付施工の解体時は大量の粉塵が発生しやすく、濃度も高いため注意が必要です。
発塵性の高さから、防塵マスクや防護服などを着用し作業をする必要があります。

しかし、アスベスト含有物の中でもタイルやスレートなどのセメントや樹脂で固めたものをビスなどで固定されている状態で扱うならば比較的安全です。
ただ、この状態のものも吹付施工解体をすると、同様に粉塵が発生します。

アスベストを含む内装解体の法律改正

アスベストはその危険性から法律が強化され続けています。
手法の一部改定があり、2022年4月からはリフォーム工事前のアスベスト調査が義務化されています。

建築物等の解体等工事における石綿の飛散を防止するため、すべての石綿含有建材への規制対象の拡大、都道府県等への事前調査結果報告の義務付け及び作業基準遵守の徹底のための直接罰の創設等、対策が一層強化されました。
参照:『環境省 大気汚染防止法が改正されました』

事前調査は専門資格がある方しかできない

アスベストの事前調査には専門資格が必要です。
建築物石綿含有建材調査者もしくは、日本アスベスト診断協会の登録者のみができます。
アスベスト関連の資格はほかにもありますが、上記の資格は必須です。

これらの資格を取得している方は、アスベストの危険性を理解しているスペシャリストと認定されます。

専門業者に依頼しよう

アスベストは有害なので、管理方法を間違えると人体に大きな被害をもたらします。
間違った管理をすると、まわりの方にも被害が出てしまいます。
専門業者に依頼するのがよいでしょう。

専門業者の中でも、アスベストの工事実績が豊富で、事前調査ができる資格者が在籍しているところを選びましょう。

アスベストの内装解体には補助金が出る場合もある

アスベストの内装解体には補助金が出る場合があります。
補助金の対象は、アスベストの発塵性が高く、危険な吹付施工がされているものです。
事前調査と除去工事の一部費用が補助されます。

詳しい内容について解説しますので、参考にしてください。

吹付施工とは?

吹付施工とは、石綿とセメントを水で練りあげたアスベスト含有物です。
直接壁や配管などに、吹付け耐火被覆や防音・断熱材として利用されていました。

また、アスベスト含有の吹付ロックウールも補助対象です。
これはロックウールをセメントとアスベストなどと混合し、吹付をした施工方法になります。
どちらも解体時に発塵性が高く、危険と判断されています。

吹付施工は補助金が出る?その内容とは?

前述した通り、吹付施工の場合補助金が利用できます。
金額は以下の通りです。

事前調査の補助金額は25万円/棟。
除去工事の補助金額は、地方公共団体の補助額の1/2以内(かつ全体の1/3以内)です。

補助金に関しての詳細は、地方公共団体によって異なります。
お住まいの地域に問い合わせましょう。

まとめ

本記事では、アスベスト含有物が使用されているときの解体方法や危険性について解説しました。
アスベストは危険性が高いため、近年でも法律の改定が行われるほど慎重に作業しなければならないものです。

アスベストの解体工事は危険性が高いため、解体工事をする際に補助金が出る場合もあります。
解体工事が必要な場合は、どの補助金を使えるのか確かめておきましょう。