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居抜き工事か解体工事か?原状回復工事・解体の種類について解説!

2022年11月25日

「賃貸借契約書の原状回復の意味がよくわからない」「原状回復工事の種類を知りたい」とお悩みの方がいらっしゃるのではないでしょうか。
実際にほとんどのテナントの借主は、退去時に原状回復が必要です。
しかし、原状回復工事の種類などを知らないとトラブルにつながる可能性があります。

そこで今回は、原状回復工事と、解体の種類について解説します。

居抜き工事か解体工事か?原状回復工事・解体の種類について解説!

居抜き物件とは

居抜き物件とは、店舗やテナントそのものに何も手を加えずに、売却するものです。
その店舗などに備え付けの設備や機器、家具などをそのまま残し、売却や賃貸借するのが居抜き物件の定義と言われています。

居抜き物件は、飲食店をはじめ、旅館や一般の店舗、工場などで初期費用が抑えられるため、人気の取引方法です。

居抜き物件のメリット

テナントを出ていく際に必ず必要になるのが「原状回復」です。
通常は使用していた設備をすべて撤去したり、買取業者に依頼したり、クロスや天井、床などを入居時の状態に戻さなければなりません。
そこには当然費用が発生します。

しかし、居抜き渡しであれば、それらの費用や手間をすべてカットできます。
そこが居抜き物件の最大のメリットです。

また、工事が手間いらずなので、退去日ギリギリまで営業を続けられます。

居抜き物件のデメリット

居抜き渡しには、トラブルが生じやすいデメリットがあります。
最も多いのが、次の借主の入居後に発覚した不具合の責任の所在です。

例えば、クロスの内側にある配線や配管など、表面からみえない部分の欠陥が発覚した場合などです。
「厨房設備を実際に使用したら故障している箇所があった」「建物内部をみてみたら不具合がみつかった」場合、発生する費用を誰が負担するのかが争点になります。

退去後のトラブル防止のために、管理会社との話し合いの場で、責任の所在をはっきりさせなくてはなりません。
実際の話し合いの内容は必ず記録し、退去時の書面にも記載してもらいましょう。

居抜きする際の注意点

居抜き物件として次の入居者へ引き継ぐ際は、原状回復を行わないため費用は安くなりますが、注意しなければならない点もあります。

居抜き物件として退去すると、その物件は居抜きとして売り出されます。
魅力のある居抜き物件か、入居者を集められるかを貸主としっかり相談しましょう。

居抜き物件として売り出すかを最終的に判断するのは貸主です。
退去する予定の借主の勝手な判断ではできません。

解体方法は3種類

オフィスやテナントなどを退去する場合の解体工事の方法は、事前の取り決めにより以下の3種類があります。

● 内装解体
● スケルトン解体
● 原状回復

それぞれどのような状態に戻すのか、詳しくみていきましょう。

店舗内などのみを解体する【内装解体】

飲食店などの、壁・間仕切り・カウンター・厨房機器などの内装や設備を解体します。
天井や床は残してもよいなど、撤去する範囲は管理者やオーナーと相談して決めるケースが多いです。

次の借主が居抜きで入れるように、内装の一部を残す場合もあるので、工事の前に物件の管理者やオーナーと相談をしましょう。

なお、内装解体の費用相場は1坪あたり15,000円〜40,000円と言われています。

構造部分のみを残す【スケルトン解体】

スケルトン解体は、建物の構造部分以外をすべて取り除き、内部に何もない状態に解体します。
天井をはじめ、床、柱など人工的に作られたものはもちろん、電気配線やエアコンなどの関連設備もすべて撤去します。

そのため、小型の重機を使って解体を行う場合も多いです。
鉄筋コンクリート造の建物では、コンクリート打ちっ放しの状態になります。

なお、スケルトン解体の費用相場は1坪あたり30,000円~50,000円と言われています。

契約時の状態に戻す【原状回復】

原状回復工事とは、賃貸借契約で借りたテナントなどを、契約書に記載されている状態に戻す工事です。
多くの場合は、入居時の状態に戻します。

つまり、スケルトン状態で借りた場合はスケルトン解体が必要です。
借りたときの状態により、解体の種類が変わります。

そのため、原状回復の解体費用は、一概には言えませんが、上記2つの解体法を目安に15,000円~50,000円と想定しておくといいでしょう。

解体の方法は賃貸借契約書に書かれている

借りていた店舗や事務所を解約する際は、賃貸借契約書で取り決められている状態で返却します。
よく確認せずに誤った状態で返却してしまうと、損害賠償を請求されるかもしれません。
事前に、必ず確認しましょう。

また、期間内解約の予告期間に関しても記載してあります。
期間の範囲内で解約の予告をし、返却日が決まったら、工期を決めます。

この際、返却日ギリギリに工事日程を組むと、遅延した際に多くの方に迷惑をかけてしまい、違約金の発生につながるかもしれません。
工事日程は余裕を持って決定しましょう。

まとめ

解体方法の種類を知っているのと知らないのでは、費用面でも差が出ます。
解体の費用を抑え、のちのちのトラブルを避けるためにも、今回の記事を参考にして契約をしてください。

居抜き物件は入居するときは設備費用がかからずよいのですが、退去時の状態に関しても確認しておく必要があります。
退去時も居抜きでよいのか、そうでないのかによって費用は大きく異なります。

解体工事を適切に実施するためにも、信頼できる業者に相談しながら工事を進めましょう。